2013年05月05日

旅だから出逢えた言葉

仕事からの帰りの電車の中で、ある広告を見つけた。『旅だから出逢えた言葉』という題名の本。旅好きの私にとって、何とも気になるテーマである。それは、旅に出なければ出逢えなかった言葉とも読み取れるが、一体どんな言葉なのか、想像をかきたてられた。それから数日後に本屋にたどり着くまで、何度か思い返したほどである。

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それは、伊集院静さんがこの3月に出したばかりの新作で、ちょうど6ページずつの、合計33編からなる旅のエッセイ集。そのすべてが、旅で出逢ったのであろう言葉から始まり、そのエピソードが後に続いた。ここで1つ、私のお気に入りのエピソードを紹介したい。

『すぐに役に立つものはすぐに役に立たなくなる』――小泉信三

これは、伊集院さんがちょうど旅先に持って行った本、『読書論』に書かれている言葉だ。その旅は、画家のクロード・モネについて取材することが目的であった。モネは、北フランスのノルマンディー地方で過ごした少年の頃に風刺画を描き、ちょっとした人気者になったことがある。それでもいつの日だったか、風景画を描き始めた。ある人物に出逢ったことで絵画をきちんと学ぶことを決意したのだ。すぐに成果は出なかったが、貧乏の中で何十年も描き続けた風景画から『睡蓮』のような作品が生まれた。本の中の言葉と、取材内容が繋がった瞬間だったのだろう。旅先で読んだ本が偶然に物事を教えてくれたと言う。

旅の記憶は、有名な観光名所に行っただけではいつか薄れてしまうかもしれない。そこに、人との出逢いやメッセージが加わり、経験と目の前の出来事や情景がリンクする瞬間、心の中に強く印象的な記憶として残るのでないだろうか。伊集院さんは、この本のことを「ぐうたら作家のどうしようもない旅の紀行文」と言っているが、旅の面白さやエッセンスのたくさん詰まった素敵な本である。何度も何度も読み返してみては、私もいつか旅でこのような出逢いをしたいと思いを馳せている。


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2013年04月10日

インパラの朝

書店に平積みされた本の表紙のインパラが私の方をジッと見つめている気がして、思わず買ってしまったー『インパラの朝』。中村安希さんという、ノンフィクション作家であり、バックパッカーでもある女性の著書。内容は、旅の記録。やはりノンフィクションの、彼女が実際に体験した旅が鮮明に綴られている。

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それは、ユーラシア大陸とアフリカ大陸を横断し、684日間にも及んだ。もはや旅とは言えなうかもしれない。厳しい現実と、宗教や文化や言語の違い、それから差別問題。常識の違いがあれど、やはり同じ人という共通点の中に潜む温かなエピソードには心が和んだ。1冊の本の中に様々な要素が散りばめられている。47カ国という信じられないほど多く、そして長い道のりを記録しているが、その中で次の国へ渡るために偽装結婚をしたこともあったというから驚く。それも2回。

中村さんの世界に引き込まれ、ページをめくる手が止まらなかった。個人的に、非日常な世界を体験する不思議な感覚が旅の醍醐味のひとつと思っているが、この本を開けると、そこは日常的な世界だった。それぞれの国で日常の中身は違うが、現実的な世界だった。出会った人びとのことが、そして彼らと中村さんとのやり取りがリアルに描かれていた。 

世界に目を向け、耳を傾けた本を読むと、自分がどれだけ小さく、範囲の狭い固定概念の中に生きているかがわかる気がする。少し目を閉じて瞑想してみる。今、世界で何が起きているかを。

まだ私が訪れたことのない世界に、そしてこれから訪れるかどうかも想像がつかない世界にただただ魅了された。決して楽しい旅の話ではなかったけれど、私の心の琴線に触れた1冊だった。
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2013年01月10日

いますぐ飛行機に乗りたい

秋本俊二さんの著書である、「新いますぐ飛行機に乗りたくなる本」を読みました。羽田空港のある書店でふと目に留まって。最後の1冊でした。新作ではなく、2008年に初版が発行された本なので、少し情報が古くなっている部分もありましたが、大半を楽しく読みました。秋本さんは、航空ジャーナリストで世界中を飛び回っている方ですが、旅に出ることについて、こう語っています。「旅に出ることはイコール、人と出会い、新たな発見をし、訪れる地域の風習や文化に触れに行くことです。その最初の入り口に当たるのがエアラインである―」と。そして、秋本さんの実際の旅の経験談がたんまりと綴られているのがこの本です。

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この本の中からいくつか私の好きな内容を挙げると、「フライトで異国の文化に触れる」では、各国のエアラインクルーから異国の文化を発見できることが書かれています。スカンジナビア航空のクルーは、シャイだけれど人懐っこく温かい。一方で、アメリカのコンチネンタル航空のクルーの話では、クルーの悪気のない大胆な対応に大笑いしました。(※詳細は、本を読んでみてくださいね。)

また秋本さんは、海外へ行くときはガイドブックを持たず、客室乗務員の生の情報を頼りにしているそうです。地元の人しか行かないような楽しいスポットや安くておいしいお店の情報を。おそらく、私はこれからもガイドブックを片手に旅に出ると思いますが、それに加えてガイドブックに載っていない情報をクルーに聞くことが機内での楽しみになるかもしれません。

それから、目玉が飛び出しそうになったのは、飛行時間3分のフライトのお話でした。皆さんはご存じでしょうか。これは、日本国内路線、沖縄県の南大東島と北大東島を結ぶフライトです。飛行距離は約10キロ。この長さを秋本さんは羽田空港の滑走路を使って分かりやすく解説しています。羽田空港の滑走路が3キロ。と考えると、このフライトがどれほど短いものなのか瞬時に想像できますね。ちなみに、時刻表上のフライト時間は15分と記載されているので、フライト時の天候や風向きによってフライト時間が変わります。

それにしてもこの本、面白くて時間を忘れて一気に読み上げてしまいました。本のタイトルのとおり、いますぐ飛行機に乗りたくなりました。私の次のフライト予定は今月の26日。待ちきれません。
posted by Amelia at 23:08| Comment(0) | ヒコーキ・旅本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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